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Kosuke Sugimoto Talks ⑦ "Outsider"

杉本晃佑対談⑦「アウトサイダー」

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新進気鋭の映像クリエイターとして、多数のミュージックビオの、CM映像のディレクションを行っている映像作家、杉本晃佑さんとの対談です。

〈前回までは〉
①「音と映像が合った瞬間とか、生理的にゾクっと…」
②「漫画って、読むのは楽しいけど、描くのはそう楽しくなかったんで……」
③「音と映像が絡む瞬間」。
「ヤン・シュヴァンクマイエルなどの伝統的なチェコアニメを学びに行ったわけではないんですけど。」
⑤「毎回仕事のたびに新しいタッチに挑戦したいと思っているんですね。」
⑥「憧れの時代を疑似旅行してみたっていうイメージがいちばん近いかな。」

第7回は「シュルレアリズム」。

「直球もあれば、ぼく以外にはわからないだろうなっていうフィルターもあって。」

平野:前回、杉本さんの作品は空間的だという話をしましたが、もうひとつ、ぼくはシュルレアリズム的だとも思います。たとえば「印象派」というアーティストの『レモン』っていう曲のPVでは、次々とシークエンスが移り変わっていくけど、出てくるシーンがすべて非現実的で……

杉本:はい。

平野:次々に事件が起こるのに、そこにはいっさいの脈絡がない。不連続な出来事が、ただ黄色という色だけでつながっている。でも、そうであるがゆえに、黄色というレモンのイメージが強烈にインプットされる。

杉本:そうですね。



平野:ものすごくうまいと思いました。そもそもアレはどういう発想で? もし夢の世界だとすると、シュルレアリズムですよね。

杉本:そう言っていただいて嬉しいんですけど、じっさいにはあの作品、ぜんぜんカオスじゃないんです。

平野:え、そうなの?

杉本:ぜんぶ歌詞にのっとっているんですよ。もちろん、ただ歌詞をそのまま表現するんじゃつまらないから、自分なりのフィルターをかましてますけどね。わかりづらいかもしれませんが、じつはマニアックに見込んだ人には、こういうことなのかなってわかるようになっているんです。

平野:へえ、ぜんぜんわからなかったな。なんか、ちょっと、悔しいなあ…。

杉本:(笑) 歌詞からくるしょうもないダジャレだったりとか。たとえば女の子が踊っている後ろで能楽堂が燃えているシーンがあるんですけど、それは「まるで喜劇よ、バックステージ」っていう歌詞を表現したもので…

平野:うん。

杉本:直球もあれば、ぼく以外にはわからないだろうなっていうフィルターもあって。そういういろんなものを混ぜつつ、繋いでいるんです。

平野:なるほど。

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杉本:目的は謎めいたシュールなシーンをつくるってことなんですけど、まったくのゼロからというよりは、すでに日本語として存在しているものに自分のフィルターを通してちょっと変化させてみて……

平野:ぼくは「印象派」を知らなかったし、そこまではとても読み解けなかったけれど、彼らのファンになって、あの曲を何回も聴いていれば、つまり杉本映像を何度も見ていれば、いろんなことが見えてくる、発見があるってことですね。

杉本:そうだとうれしいですね。

平野:てっきりぼくは、事件そのものはどうでもよくて、黄色を強烈にインプットすることだけを考えているものとばかり思っていました。

杉本:実際そうなんですよ。すべてを空白から埋めていくのはむずかしいので、ヒントとして歌詞を使っているというだけで…

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平野:杉本さんの作品には、いろんな仕掛けやメタファーがこれでもか、というくらい重層的に織り込まれていて、サラっと見ただけでは到底すべては解読できない。ゆえに読み解く面白さがあるわけだけど、一方ではエンターテインメントである以上、100%わからないというのも困る。

杉本:そのとおりです。

平野:そのあたりのサジ加減はどうしているんですか? きっとギリギリのところを狙っているんだろうけれど。

杉本:たしかにむずかしい問題です。ミュージックビデオの場合、商業的な命題として何回も見てもらう必要があるので、1回見ただけで100%満足してしまうようではいけない。

平野:はい。

杉本:先ほどお話した『the TV show』にはいたる所に伏線やトリックを詰め込んであるんです。もう10何年経ちますけど、いまだにマニアが「今日、新しい伏線を見つけた」と言ってカウントしてくれるんですよ。ある人は「100何十個伏線があった!」って。そんなにつくった覚えはないから、まちがいなく勘違いなんですけど…

平野:(爆笑)



次回は「チャレンジ」。

⑧「最初に『どこまで冒険するか』っていう話はするんですけどね。」

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杉本晃佑(すぎもと こうすけ)

映像作家

1983年生まれ。アニメーション・実写・3DCG・モーショングラフィックスなどを用いた映像と音楽とを緻密に融合させた構成、歌詞や広告商品などを独自に掘り下げたストーリー構築を得意とし、MV、CM制作を主として活動。近年はSEKAI NO OWARIやSCANDALのMV、NHKみんなのうたなどを手がける。また「the TV show」「これくらいで歌う」などの個人作品は国内外の多数の映画祭・コンぺティションで受賞。
2014年からプラハを拠点にヨーロッパでの活動も開始。映像監督を務めた3D映像コンサート「Vivaldianno 2015」はイギリス・ドイツ・チェコなど15ヶ国以上で上演、クラシックコンサートとしては異例の20万人以上の動員となる。2018年、東京に株式会社Studio12を設立。

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