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Okamoto Taro Column ⑳ " Magic of words "

岡本太郎コラム⑳東風西風「言葉の魔力」

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先日ある実業家が面白いことを言っていた。「どうもアメリカ人が好きになれないのは、若いころ英語の試験でさんざん苦労させられた、あのせいではないかと思うんですよ」

たいへん実感のあるユーモラスな発言だったが、深刻である。

今日、少なくとも上級の学校に進もうとする限り、英語は絶対の条件だ。文科・理科を問わず、ここでぐんと差がつく。だから、受験生はみなガリガリと英語に精を出す。ノイローゼになるほど苦しんで、大学を出、いっぱしの社会人、ビジネスマンになる。たまたま社交家や商売相手のアメリカ人が、たとえ大したやつでなくても、ペラペラッとあざやかに、しゃべり、笑ったりする。こちらは咄嗟(とっさ)に答えが出ない。かつて自分があんなに苦労して勉強したのに……ふと圧倒される。とりわけ現代は内容よりもカッコよさが優先される時代だ。当然ペラペラの方が優位に立つわけで、結果、何かいわれなく受け身に回ってしまうということも十分考えられる。

してみると現在の英語教育が、日本人の外国人コンプレックスを養成しているようなもの。英語は国際語として必要であるには違いないが、今の学校制度のようにあまり偏重すると、結果は意外な面にマイナスに響いてくる。

ところでまたこんな話を聞いた。ベトナムでアメリカがうまく行かなかったのは言葉のせいだというのだ。インドシナは旧仏領だからフランス語圏だ。南ベトナムにアメリカ人がどんどんはいって行った時、英語が通じないので、軍人も要人も仕方なく下手くそなフランス語を使った。これがまずかった。いくら支配者ぶっても、どうも威厳がない。

これからの世界はますますコミュニケーション時代になる。言葉の問題はなんとか解決されなければならないだろう。言葉は不思議な魔術を持っているからだ。

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