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Special course report ④

「芸術と社会の接点―岡本太郎のパブリックアート」特別講座レポート④

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2019年3月9日(土) 19:00~ に岡本太郎記念館で行われた川崎市岡本太郎美術館学芸員であり、岡本太郎記念館の客員研究員である大杉浩司さんによる特別講座のレポート四回目をお届けします。

17.歓喜
大杉:続いてこれは梵鐘です。これは名古屋の久国寺というところにあります。名古屋城の鬼門に位置してお城を守るために建てられた曹洞宗の寺院です。そこの住職が岡本太郎の作品や文章をいろいろ見て非常に感銘を受けて「うちの寺に昭和の梵鐘を作って欲しい」と頼まれました。ところが、出来上がった梵鐘を見た檀家の方から「うちの和尚は気でも狂ったか。こともあろうに寺の鐘にツノを生やした」と、檀家が一時半分くらい減ったらしいですよ。でもこれはよく見るとツノじゃなくて人間の手と足なんですね。普通梵鐘には乳という御釈迦さんの螺髪を模したものが付いているのですが、この梵鐘は乳の代わりに手と足が宇宙に向かって広がっているわけです。梵鐘の概念を覆したような、現代の梵鐘ですね。これは大きな梵鐘ですけども小さい4分の1タイプの梵鐘も五つ作っています。岡本太郎記念館の庭にあるのがそのうちの一つですね。もう一つは岡本太郎美術館にあって、もう一つがですね岐阜にある大垣女子短期大学というところにあります。さらに銀座の三笠会館という老舗のレストランにあります。ここは三笠会館の創業者である谷社長が非常に岡本かの子、一平と仲が良くて、その関係で太郎が梵鐘の一つを進呈したんですね。それで三笠会館の三階だったかな、和食のレストランの入り口に置いてあります。最後の一つは、石原慎太郎が持っています。

18.数寄屋橋「若い時計台」
大杉:これは東京銀座の数寄屋橋にある《若い時計台》です。夜になると腕の付け根がカラフルな色の照明によってほんのり光る光の塔となります。写真では見えないのですが裏側から見ると腕がこんな恰好をしているんです。どうも岡本太郎は当時流行ったマンガ「おそ松くん」のイヤミのシェーのポーズをこの造形に加えたらしいです。太郎さんの遊び心でしょうか。この時代はみゆき族が流行った時代です。頭陀袋を持って銀座のみゆき通りを闊歩する若者が話題になりました。ちょっと若者の風紀が乱れたといわれる時期でもありました。そこで数寄屋橋のライオンズクラブが岡本太郎に「若者が早く帰るように時計台を作って欲しい」と頼んだそうです。時計台ですから時計はなきゃいけない。そこで太郎は時計盤を顔にしました。時間に追われながら生活する人間に対し、時間を食ってエネルギーを四方八方に放つ人間像ですね。時計が顔になることで、時計の針が眉毛になったり髭になったりと、つまり時間によって顔の表情が変わるんですね。岡本太郎の造形は一つの彫刻でありながらも時間によって光の色が付いたり、顔の表情が変わったりと、いろいろな見え方をするというのが面白いところだなと思います。

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大杉:さき程見ていただいた《無籍動物》もそうですが、岡本太郎の彫刻の特徴として面白いのは目に穴が開いているとか、眼はあっても目玉が描かれていないとか。普通目というのは表情を決定する最も大事な部位です。どんなに体をうまく作ったり、描いたりしても目の表情一つでその彫刻や絵の意味が決定されてしまうところがあります。ところが岡本太郎の作品の多くの目には目玉がないんですよ。それはなぜか?つまり目玉は見る人が空想するんです。「今怒ってる。今は笑ってる」と。同じ彫刻にもかかわらず見る人や、見る時間よって変わるっていうのが岡本太郎作品の特徴でもありますね。先ほどお話しした題名と同じで、人の感性を刺激して、見る人が作品の題名を付けたり、自由に空想するのが岡本作品の見方でもあります。

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