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Daisuke Sasaki Talks ⑤ "The spirit of Jomon"

佐々木大輔対談⑤「縄文の精神」

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日本人でただ一人、世界で最も過酷で危険なエクストリームスポーツの「スキーベースジャンプ」をされている佐々木大輔さんとの対談です。
第5回目は「イメージの上で死ぬ」

〈前回までは〉
①「この絵はわたしの母親が岡本太郎さんに描いてもらったものなんです。」
②「こういうものは、うちにあってはいけないです!」
③「ほんの数秒間なんですけど、その数秒間だけ、時がゆっくり流れていくんです。」
④「じつはわたしは高いところが怖くて。」

「繰り返しイメトレをしながら、何回も死にます。」

平野:それでね。さっきの話にはつづきがあって、なんらかの「報酬」があるからやめられない、またやりたくなる。きっとそうなんだろうけど、一方では、快楽に溺れるだけだと、たぶん死ぬんです。

佐々木:ええ。

平野:これまで佐々木さんが無事にやってこられたのは、どこかで自分を制御していたからだろうと思うんです。最大の快楽を求めるだけだと、きっと死ぬ。でも佐々木さんは死んでいない。それはどこかギリギリのところで自分自身をコントロールしているにちがいない。

佐々木:そうかもしれません。

平野:それって、実際にはどんな感じなんだろう? きっとコンマ何秒の現場判断で「このままじゃ危ない」とか「ここまでにしておこう」みたいに、自分自身を律しているはずなんだけど・・・

佐々木:日本の場合、とにかく飛ぶ場所が限られていて、まずはそこを探すところからはじめなければなりません。なんとか見つけたら、そこを下から見て、上から見て、繰り返しイメトレをしながら、何回も死にます。

平野:イメージの上で死ぬ?

佐々木:そうです。「調子に乗って直滑降して飛び出す前にすっころんでそのまま落っこちる」とか、そういう想像をいっぱいして。

平野:ああ(笑)。

佐々木:「スキーが履けなくて滑れない」とか「パラシュートを背負ってなかった」とか、そういう想像からはじめて・・・そういうイメトレを何回もやって、ここならなんとか行けそうだっていうところを絞り込んでいくっていう感じです。まあ、どこまでいっても「たぶんの世界」でしかありませんけど。

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平野:でもそのシミュレーションって、実際に滑っているわけじゃないので、いわば「机上の検討」に近いですよね。

佐々木:じっさいにはやってみないとわからないです。

平野:ですよね。上から眺めて物理的に確認するにしても、細かいところまでぜんぶ見えるわけじゃないし、じっさい滑ってみたらイメージとちがっていた、っていうこともあるでしょう?

佐々木:はい。

平野:状況は常に動いているし、変化している。

佐々木:おっしゃる通りです。

平野:スキーベースジャンプがスカイダイビングと決定的にちがうと思うのは、スカイダイビングってたしかに怖いだろうけど、「さぁ行くぞ」と決めて飛んだあとに、空の側がなにかを仕掛けてくることはないじゃないですか。そういう意味でいえば、ある種「静的」だと思うんです。

佐々木:なるほど。

平野:ベースジャンプも、ビルや崖から飛んだあとは、状況の側から立ち向かってくることはない。

佐々木:はい。

平野:でもスキーベースジャンプは滑っていくうちにどんどん状況が変わるし、どんな反発があるかわからない。上から見ても気づかなかった岩があったり、着地をしたらそこだけ雪がなくて地面に激突するとか・・・いろんなことが起こりうるわけでしょう?

佐々木:そうなんです。

平野:そう考えると、スキーベースジャンプって、対戦型競技のイメージなんですよね。
スカイダイビングはボーリングやゴルフみたいに、ある状況のなかで自分ひとりでやっていく。すべて自分で決められる。対して佐々木さんがやられているのは、相手からのリアクションがあるテニスやバスケに近い。もっといえば格闘技に近いのかもしれません。

佐々木:やっている側としては、まさにそういう感覚です。いまの話はとてもしっくりくるものがありますね。それに、じつはプロレスラーになりたくて・・・

平野:あ、そうなんだ(笑)。

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佐々木:中学の頃にプロレスにハマって、高校時代にレスリングをやっていたんです。スキーベースジャンプって、一般のスキーでは考えられないような、たとえば岩にぶつかって体中ボロボロになったりしますから、これは格闘技だなって思う瞬間が多々ありますね。

平野:ああ、なるほど。

佐々木:そういう瞬間に喜びを感じているのでつづけられているんだと思うし、覚悟みたいなものもあります。「樹があろうが岩があろうが、オレは飛びたいから、乗り越えてやる」っていう、そういう覚悟が必要だと。そういうところは、まさに格闘技的ですよね。「殴られても相手を倒す!」っていうのとおなじですから。

平野:そういう意味でも格闘技的だし、修験的でもある。効率よくスムーズに楽しもうっていうスタンスはあり得ない競技ですもんね。

佐々木:それだとスキーベースジャンプ自体が存在し得ないですね。

平野:あえていちばん難しいところを探しに行っているわけでしょう?

佐々木:そもそもスキーベースジャンプって、だれも滑らないところ、「あんなところ、だれが滑るんだよ!」っていうところを、「じゃオレが滑る!」ってはしゃいでいた人たちが、もっともっとエスカレートして、「もうどこも滑るところなくなった。でもあそこだったらパラシュートをつけていれば帰ってこられるんじゃない?」っていうところからはじまっていますから。



次回は「スキーの可能性」

⑥「ぼくがほんとうに熱望しているのは太陽の塔から飛びたいってことですから。」

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佐々木大輔(ささきだいすけ)

1977年 青森県十和田市出身
2003年 アラスカ・フリーライドチャンピオンシップ優勝(日本人唯一)
2013年 富士山スキーベースジャンプ(世界初)
「スキーの歓び、可能性を世間に広める」を目標に “ベースジャンプ ” と “スキー” を融合させた「スキーベースジャンプ」で表現し最驚を目指す。
妻まなみが同行し撮影、日本のスキーベースジャンプエリアを世界でただ一人開拓し続ける。

 

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