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Daisuke Sasaki Talks ⑩ "The spirit of Jomon"

佐々木大輔対談⑩「縄文の精神」

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日本人でただ一人、世界で最も過酷で危険なエクストリームスポーツの「スキーベースジャンプ」をされている佐々木大輔さんとの対談です。
最終回は「縄文の清新」

〈前回までは〉
①「この絵はわたしの母親が岡本太郎さんに描いてもらったものなんです。」
②「こういうものは、うちにあってはいけないです!」
③「ほんの数秒間なんですけど、その数秒間だけ、時がゆっくり流れていくんです。」
④「じつはわたしは高いところが怖くて。」
⑤「繰り返しイメトレをしながら、何回も死にます。」
⑥「ぼくがほんとうに熱望しているのは太陽の塔から飛びたいってことですから。」
⑦「『オレ、プロレスラーになるから!』と大見得を切っていたので、」
⑧「彼のすごい滑りを見て、大歓声がボンボンって。」
⑨「『なにをバカなことやってるんだろ?』でもいいんです。」

「『縄文人の心がそうさせてるんだよ』って胸を張ります!」

平野:バカらしくてもいいっていうのは、言い換えれば、無駄なことにも価値があるっていうことですよね?

佐々木:はい。

平野:それって、つまり佐々木さんがやっていることって、縄文の精神に通ずる営みだと言えるかもしれない。

佐々木:え?!

平野:縄文研究の第一人者である小林達雄さん(日本の考古学者、國學院大學文学部名誉教授)にね、「太陽の塔はよく〝縄文の塔〟みたいに言われるけど、アレってどう見ても縄文の造形じゃないですよね?」って言ったことがあるんです。

佐々木:はい。

平野:そうしたら小林さんは「いやいや、たしかに形はちがうかもしれないけど、そんなことは問題じゃないんだ」って言うんですよ。やっていること、態度そのものが縄文なんだと。

佐々木:??

平野:太陽の塔って「無駄の塊」でしょう?あんなに大きくて目立つのに、なにを表しているかわからないんだから。しかもそんな代物を税金で建てた。

佐々木:そうですね(笑)。

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平野:太陽の塔って、これ以上はないという最高レベルの「無駄遣い」なんですよ。でも太郎はそれを狙っていた。なぜなら「祭り」だから。

佐々木:ああ。

平野:リオの庶民は、1年コツコツ貯めたお金をカーニバルでぜんぶ使うって言われているけど、祭りって本来、そういうものです。蕩尽が精神を解放してくれる。

佐々木:なるほど。

平野:縄文人は、ぶっとい丸太を運んできて建てたそうです。ただ柱を建てるだけ。なんの役にもたたない柱です。合理性のかけらもない無駄な行為だけど、だからこそ大きな精神的意味があったし、聖なる営みになった。太陽の塔もおなじなんだって。

佐々木:おもしろいなあ。

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平野:悪口でもなんでもなくて、佐々木さんがやっていることもそれとおなじで、100%無駄だしバカげてるじゃないですか。

佐々木:嬉しいです。

平野:太陽の塔の魅力ってどこから来ているのか? けっきょくはバカげているからですよ。

佐々木:そうかもしれませんね。

平野:効率とか費用対効果とか、そういうものの真逆。だから惹かれるんです。佐々木さんがやっていることも、ある意味でおなじ。それってつまりは縄文的ってことです。

佐々木:ぼくは縄文人?!

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平野:縄文土器と出会って「縄文の精神」を感知した太郎は、東北と沖縄を旅して、それがいまも日本人の心の奥底に眠っていることを確認した。

佐々木:まさしくそのときに母と会ったんですね。

平野:狩猟採集時代には、呪術の力で獲物をおびき寄せ、暗闇にたったひとり身をひそめて待っていた。獲物が来たら飛び出していくわけだけど、一瞬の判断を間違えれば逆に殺られる。孤独、不安、恐怖の極限状態です。でも、だからこそ獲物を仕留めたときには歓喜が待っていた。

佐々木:なんだかすごく共感できます。

平野:「たったひとり」「孤独、不安、恐怖の極限状態」って、まさに佐々木さんが滑りはじめるときとおなじでしょう?

佐々木:はい。

平野:極論すれば、太郎は死ぬことと生きることはおなじだと考えていた。死に直面するからこそ生の喜びがある。それが縄文人の誇らかな生き方だった、ってね。

佐々木:生の充実ですね。

平野:ところが農耕社会になると、役割分担ができ、コツコツと貯蓄をはじめ、「明日も今日とおなじでありますように」と願うようになった。官僚型のヒエラルキーができ、小市民的な平べったい精神になってしまった。

佐々木:はい。

平野:縄文の頃は孤独、不安、恐怖と闘わなければならなかった。でも、だからこそ「報酬としての歓喜」があった。そしてその縄文人たちは無駄なことに大きなエネルギーを割いた。きっとそうやって精神の均衡を保っていたんでしょう。

佐々木:そうか。

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平野:冒頭でうかがった、死と隣り合わせの「5秒の歓喜」が麻薬のように佐々木さんを掴んで離さない。しかもそれは、うまくいったからといって、なにか人類に貢献するようなものではない。

佐々木:まったくないです。

平野:バカげているし、無駄です。でも、だからこそ聖なる価値があるんですよ。

佐々木:じつは仲間からも、「金と時間と命の無駄遣い」って言われているんです。

平野:(爆笑)

佐々木:でもこれからは、「縄文人の心がそうさせてるんだよ」って胸を張ります!



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佐々木大輔(ささきだいすけ)

1977年 青森県十和田市出身
2003年 アラスカ・フリーライドチャンピオンシップ優勝(日本人唯一)
2013年 富士山スキーベースジャンプ(世界初)
「スキーの歓び、可能性を世間に広める」を目標に “ベースジャンプ ” と “スキー” を融合させた「スキーベースジャンプ」で表現し最驚を目指す。
妻まなみが同行し撮影、日本のスキーベースジャンプエリアを世界でただ一人開拓し続ける。

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