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Okamoto Taro Column ㉓ " Fault "

岡本太郎コラム㉓東風西風「断層」

1980頃-69歳頃 旅先にて_

旅行中、ある地方紙に目を通していると、囲み欄に「はり倒せ」という題の一文が目についた。成人式の日のテレビを見ての感想である。

「こんにちは奥さん」に幾組かの親子が出て対談したらしい。その「はたちの言葉」に筆者はまったく「どうにもならないほど頭にきた」というのである。読んでいて、私は腹をかかえて笑ってしまった。若者の言葉をちょっと引用してみよう。

「ボクたちにとって両親の最大の遺産は、一日も早く死んでくれることだ」「はたちになったから成人したというようなものではない。女をダマすことが成人のはじまりで、母親をダマすのはその手はじめだ」

筆者は「このようなできそこないの脳細胞所有者は、はり倒すか銃殺するか」とカンカンである。
なるほど若者の言葉は常識をこえてダイレクトだ。それに対して大人が目くじらだてて、はり倒せといきまいている姿も目に浮かぶ。ここに現代の断層が見事にカリカチュアライズされている。

ところで若者の言葉はちょっと聞くとビックリ仰天ものだが、しかし意外にも倫理的だ。昔から息子(むすこ)は母をダマしながら大人(おとな)になった。ただ親孝行という至上命令のもとで、口には出さなかっただけだ。男女が互いにだましあうという遊びは愛情の表現でもある。甘ったれっ子は母にあこがれながらもダマしていた。

しかし、こうして端的に言われると、大人どもショックなのだ。自分も若い時代には、心の奥底でそういう言葉をひそかにつぶやいたに違いないのに。そんなバカな、と腹を立てるのだろうが、それほど忘れ去られた下意識の現実なのだ。

私が言いたいのは、はり倒して済むものではないということ。新旧世代のコミニュケーションがこれだけ断絶してしまった時代にこそ、大人は若者たちの言動の裏にひそんでいる微妙なニュアンスをくみとって、適切に対応してやらなければならない。でなければ本当の大人とは言えないだろう。

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