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Toshiro Inaba Talks ⑩ " Avant Garde Medicine "

稲葉俊郎対談⑩「アヴァンギャルド医療」

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東京大学医学部付属病院循環器内科助教で心臓カテーテル治療、先天性心疾患、在宅医療、山岳医療が専門の稲葉俊郎さんとの対談です。
最終回は「命のバトン」

〈前回までは〉
①「ぼくは『動いている生命』に魅力やロマンを感じました。」
②「宇宙の銀河の形も、植物の形も、竜巻も・・・螺旋ですよね。」
③「心の自然に反すると、バランスが崩れて病として表に顔を出す。」
④「共通体験として、やはり川を境界線として語る人は多いですね。」
「当時のぼくに関心は、自分とは一体何者なのか、なんのために生まれてきたのか、」
⑥「できるのが基本で、むしろできなかったときの落胆のほうがはるかに大きいです。」
⑦「全体の関係性を結びなおしながら生きていくことを大切にしたいんです。」
⑧「ぼくはもっと、みんながより良く生きていくための場をつくりたいんですね。」
⑨「寝て、起きて、ご飯を食べて、仕事をして、また寝て・・・」

「身体を知ることが世界平和につながると本気で考えているからです。」

平野:芸術でもエンターテインメントでもそうだけど、刺激的なものに出会うと脳味噌が活性化して、やる気になったり元気になったりする。ちょっと沈んでいたのに気分がよくなったりね。考えてみれば、これだって立派な医療ですよね。

稲葉 :そうなんですよ!まさにそういうことを言いたいんですよ!自分にとっての自己治療なんですよ。

平野:あ、そうか。

稲葉 :それが「いのちが生きる」ことそのものなんじゃないかと。そういう原点に立ち戻り続けたいんです。複雑にするのではなくて子どももわかるシンプルな場所へ。そういう観点で見直してみると、医療も芸術も同じだし、政治もマスコミも建築も・・同じテーブルに着けると思うんですよ。わたしたちがよりよく生きるために、生まれてきたものじゃないかって。

平野:うん、よくわかる。

稲葉 :そういう思いを込めて、この『いのちを呼びさますもの』を書きました。

平野:医者仲間の反応はどうでした?

稲葉 :若い人たちはすごく共感してくれていましたね。

平野:そうだろうな。

稲葉 :「ぼくもおなじようなことを考えています」って、さらっと言ってくれたりね。うれしいですよね。

平野:うん。

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稲葉 :ぼくはみんながもっと人間の身体のことを深く知ればいいのにな、と思っています。身体を知ることが世界平和につながると本気で考えているからです。

平野:平和に?

稲葉 :人間の身体って、協力原理でできているんです。闘争原理ではないんですよ。脳と肝臓は闘って殺し合ったりしない。だから、人間の身体の仕組みを知ること、つまりそれぞれの臓器がすべて役割をもち協力しあいながら全体が存在していることを知れば、宗教や人種も含めて、わたしたちの生命ある地球社会を考える時に、みんなが共有できる一つのモデルになるんじゃないかと思うんです。それは平和活動につながるんじゃないかって本気で考えているんです。

平野:人間って、本来的に協力原理でできているんだ。

稲葉 :命の仕組みは、対極のものが共存しながら、ぶつかり合って渦のようにエネルギーを創造し続けるスーパーシステムです。生命の全体性は、部分の協力原理によって支えられています。不思議としか言いようがないです。でも、そうした生命の世界の本質は、太郎さんから受け取ったことでもあるんですよ。太郎さんがいのちをかけて伝えようとしたことを、ぼくは確かに受け取った。受け取ったと思っている人全員に、命のバトンは渡されると思うんです。だから、ぼくは責任がある。受け取ったものは、生活の中で実践しながら受け継いでいく役割を担っている。芸術家として岡本太郎を越えることはできないけれど、医療の世界できちんと芸術すれば、太郎さんと対等に話ができるかもしれない。ぼくはそう信じているんです。

平野:太郎や敏子が生きていたら、稲葉さんと話したがっただろうな。

稲葉 :ぼくも三日三晩、しゃべりたいことは山のようにあります。でも、こうして今もぼくはずっと対話し続けていますから。目をつむれば、すぐそこに太郎さんがいる。太郎さんの全存在もちゃんと次に伝えていきたい。それは個人的なミッションだなと思っています。

平野:こんな医者がいるとは思わなかった(笑)。ほんとうにおもしろかった。ありがとうございます。

稲葉 :こちらこそお呼びいただき、本当にありがとうございました。



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稲葉俊郎(いなば・としろう)

医師、東京大学医学部付属病院循環器内科助教。医学博士。1979年熊本生まれ。
心臓カテーテル治療、先天性心疾患が専門。在宅医療や山岳医療にも従事。
西洋医学だけではなく伝統医療、補完代替医療、民間医療も広く修める。
2011年の東日本大震災をきっかけに、新しい社会の創発のためにあらゆる分野との対話を始める。
単著『いのちを呼びさますもの』(アノニマ・スタジオ)、『ころころするからだ』(春秋社)など。
HP:https://www.toshiroinaba.com/

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