他に類を見ない、オリジナリティあふれるコントを生み出す、お笑いコンビ・野性爆弾のくっきーさんとの対談です。
第一回目は「アートをはじめた経緯」
②「やりたいことをやって生きてきただけで……すんません!」
③「下描きはしますけど。でもそれもマジックとかで描きます。」
④「なんか……デカいですね。自分がすごくちっぽけに思えて。どうしよー!(笑)」
⑤「いままでだれも知らなかったものをつくりたいっていうのはありますね。」
⑥「お客さんに合わせることがダセェことやと思い込んじゃってて。」
⑦「でも飽き性なんで、また次にやりたいものが出てくると思うんですよね。」
⑧「習ったら、要らない脳みそや筋肉がついちゃうんじゃないですかね。」
⑨「太陽の塔はぼくの脳みそのシワの隙間に確実に入り込んでると思うんです。」
「最初はお笑い芸人の一部としてやっていた感じなんですわ。」
平野:きょうは人気お笑いコンビ「野性爆弾」のくっきーさんをお招きしています。大ブレイクしているお笑い芸人としても大好きだけど、それ以上に興味があるのはアーティストの側面。先日も世界最大級のアートの祭典『Artexpo New York』で大きな評判を呼んだと聞いています。きょうは、そんなくっきーさんに創作の裏側をいろいろ訊いてみたいと楽しみにしていました。
くっきー :よろしくお願いします!
平野:ところで、ぼくはなんてお呼びしたらいい? くっきーさん? 川島さん? くっきー?
くっきー :あ、それなら、みんなくーちゃんって呼んではります。
平野:あ、そうなんだ。じゃ、ぼくもくーちゃんでいい?
くっきー :もちろんです!
平野:OK! いま言ったように、ぼくはアーティストとしてのくーちゃんにとても興味がある。いろんなことをやっているけど、すべてに〝スジが通っている〟ように見えるからです。なにより個性的だし、なんていうか……見ていて清々しいんですよね。なにかに媚びている匂いがまったくしないから。
くっきー :ありがとうございます!
平野:まずは、どういう経緯でアートに接近し、創作活動をはじめたのか、そのあたりから教えてもらえますか?
くっきー :ぼくは太郎先生みたいに「オレは描く! 描きたいから描く!」っていう感じではじめたわけではなくて、どっちかといえば「芸人の派生」みたいなもので……
平野:芸人の派生?
くっきー :楽屋で落書きをしていたら、先輩が「うまいやん!」って言ってくれはって。「◯◯の似顔絵、描いて~な」なんて頼まれたところから、次第に「結婚式のウェルカムボード、描いてよ」みたいなことになっていったんです。で、その絵がおもしろいとテレビで紹介されたりして……
平野:なるほど。「見てろ! オレ、アーティストになったるぞ!」っていう決意のもとではじめたわけではないんですね。
くっきー :最初はお笑い芸人の一部としてやっていた感じなんですわ。
平野:とはいえ表現することに興味がなければ、楽屋で絵なんて描かないでしょう?
くっきー :そうですね。
平野:楽屋ではどんな絵を?
くっきー :それこそ雑誌などを見ながら、アイドルの顔なんかを描いてました。
平野:だれかに見せるためじゃなくて?
くっきー :いや、もう、まったく。ほんとにただの暇つぶしで。
平野:「絵を描こう!」っていうモチベーションはどこから来たんだろう? 単純に絵を描くのが楽しかったから?
くっきー :癖みたいなものだったんですよね。暇なときに絵を描くっていうのが。
平野:こどものころから?
くっきー :そうです。小学校のとき、教室の机を真っ黒にするほど絵を描いていた、そんなこどもだったんです。
楽屋でもその延長で描いていただけで。それが、いつの間にか、みんながどんどん見てくれる環境になって。
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次回は「なぜくーちゃんだけできるのか?」

くっきー
1976年3月12日生まれ。滋賀県出身。本名・川島邦裕。
幼稚園からの幼馴染だったロッシー(本名・城野克弥)と94年に「野性爆弾」を結成。NSC大阪校13期生。
若手時代から独特の世界観で注目され、MBSテレビ「オールザッツ漫才」などで注目を集める。
2008年に拠点を大阪から東京に移し、白塗りした顔で表現するモノマネ芸などが浸透し、2018年上半期ブレイク芸人NO.1となる。

絵画や映像、