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Cookie Talks ⑤ " 100% desire "

くっきー対談⑤「100%欲望」

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他に類を見ない、オリジナリティあふれるコントを生み出す、お笑いコンビ・野性爆弾のくっきーさんとの対談です。
第5回目は「くーちゃんのやりたいこと」

〈前回までは〉
①「最初はお笑い芸人の一部としてやっていた感じなんですわ。」
②「やりたいことをやって生きてきただけで……すんません!」
③「下描きはしますけど。でもそれもマジックとかで描きます。」
④「なんか……デカいですね。自分がすごくちっぽけに思えて。どうしよー!(笑)」

「いままでだれも知らなかったものをつくりたいっていうのはありますね。」

平野:ところで、くーちゃんはどのようにして〝こういう人〟になったんですか?

くっきー :え?(笑)

平野:まさか普通に優等生だったわけじゃないでしょ? まさか学級委員長なんてやってないですよね?(笑)

くっきー :あー、でもぼく、生徒会長はやりました。

平野:え〜! マジで!? そうなの? そういう人だったの?(笑)

くっきー :ぼくも太郎先生みたいにエリートやったんです(笑)。

平野:あー、そうなんだ。で、どうやって道を踏み外したわけ?(笑)

くっきー :よう言うてるのは、うちは田舎やったんですけど、小3のころに親父が「家の畑に武将の刀が埋まってる」言うて……。で、夏休みに兄弟3人で掘っていたら、炎天下でめちゃめちゃ陽射し強くて、熱射病で倒れたんです。3日間昏睡状態で、目が覚めたらこうなってたんですわ(笑)。

平野:マジで? 昏睡状態に?

くっきー :ホンマです。そこからちょっと奇行に走るようになって……

平野:(爆笑) でもね、マジな話をすると、そんな感じがしたんですよ。

くっきー :え?

平野:なんていうかな、キチッとしているというか、思いつきでフラフラやっているような人ではないなって。

くっきー :あ、ホンマですか。わかってくれてはる(笑)。

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平野:きっと自身のなかにとても強いものをもっているんだろうと思うんです。くーちゃん、なにかを吐き出したいっていうか、世間に「これはどうだ!」って問いたいというか……そういうの、あるでしょ?

くっきー :むちゃむちゃあります。

平野:オレのこと好きになってくれとは言わないけど、でもオレはこう考える! オレはこうなんだ! だから見てくれ! っていう。

くっきー :はいはい。ありますあります!

平野:そういう感覚、そういう思いが込みあげてくるのは、おそらくある種の使命感みたいなものがあるんじゃないかっていう気がするんですよ。オレがやらなきゃだれがやる、みたいなね。そういうミッション感みたいなのって、あります?

くっきー :ミッションとまでは思っていないですけど、いまっていろんなものが出尽くしているじゃないですか。とくに芸人は隙間産業みたいなもので、無いものを見つける作業です。絵もそうですけど、お笑いも、映像とかもやったりするんですけど、いままでだれも知らなかったものをつくりたいっていうのはありますね。すべてにおいてそれをやりたいんです。

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平野:世の中にまだないものを見つけて、しかもそれを自分の頭のなかで思い描くだけじゃなくて、芸であれアートであれ、形にしなきゃならない。それはとてもむずかしいことだし、手間もかかる。精神も消耗します。

くっきー :そうですね。

平野:自分を追い込まなきゃいけないわけだしね。

くっきー :「なにしてんねん!」って言う人もいるし。

平野:強烈な意志がなければ、それをやりつづけることはできません。くーちゃんの根っこにはなにがあるんだろう? シンプルに好きなのかな、やっぱり。

くっきー :好きなのと、あとなんか、ヘンに自信があるっていうか……

平野:うん(笑)。

くっきー :「できる」って当たり前に思っていて。

平野:アーティストはみんなそうですよ。でも一方では大きな不安も抱えている。「このままでいいのか?」「古くなったんじゃないか?」「社会は受け入れてくれるのか?」とかね。芸術家はみんな不安や孤独と闘っている。そこから逃れることはできません。

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くっきー :そうですよね。とくにお金になっていないときには感じますよね。

平野:でもくーちゃんは、孤独や不安を引き受けてでもやりたいわけでしょう?

くっきー :はい。

平野:そう考えれば、ある種、割に合わないことをやりつづけているのがアーティストですよ。ただね、仮にそうだとしても、一方では大きな歓びがなければ、やっぱりつづかないはず。右手に孤独と不安を握っていたとしても、左手に歓喜と快楽がなければね。

くっきー :うんうん。

平野:くーちゃんは、作品をつくっていて、どんなところに歓びを感じるの?

くっきー :ぼくは潜伏期間が長い芸人やったんです。表になかなか出られなかった……いびつな笑いばかりやっていたんで。それがこう、メジャーな番組に呼ばれてハネたときに「受け入れられた感」があったし、それこそコアなファンたちが集まってくれるイベントとか、節々でストレスからフワンと解放してくれるタイミングがあった。それでつづけられたんやと思います。

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平野:絵のほうは? 作品をつくっていて歓びを感じる瞬間って、どんなとき?

くっきー :これはね、キャッキャッて楽しくやっているだけで……。「描け」なんてだれからも言われてないのに、勝手に描きたくなって、ただ描き出しちゃったみたいな。だから、よくわからないんですよね。ぼくはなんで描いているんだろう?

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平野:(笑) 要するに、遊んでいる感じ?

くっきー :完全に遊んでいる感じです。コレなんかも、なにかシリーズものをつくりたいなと思って。「未来の海で進化した人間」っていうイメージです。生きもののいいところばっかり盗んでいくっていう進化を描いたんですけどね。



次回は「くーちゃんの貫いたこと」

⑥「お客さんに合わせることがダセェことやと思い込んじゃってて。」

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くっきー

1976年3月12日生まれ。滋賀県出身。本名・川島邦裕。
幼稚園からの幼馴染だったロッシー(本名・城野克弥)と94年に「野性爆弾」を結成。NSC大阪校13期生。
若手時代から独特の世界観で注目され、MBSテレビ「オールザッツ漫才」などで注目を集める。
2008年に拠点を大阪から東京に移し、白塗りした顔で表現するモノマネ芸などが浸透し、2018年上半期ブレイク芸人NO.1となる。

カバー
『くっきずむ』(美術出版社) 発売中 10,800円(税込)


クリエイティブ・ディレクションに「風とロック」の箭内道彦、アートディレクションに小杉幸一を迎え、展覧会で出品された作品に新作を加え、これまでのアート活動を網羅的に掲載。
絵画や映像、パフォーマンスなどの作品のほか、日本をはじめアジアで開催された展覧会など、「表現者」として独自の世界観を構築する活動を紹介。国内外に向けてくっきーの表現世界──COOKISM──を発信していく内容となっています。

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