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Okamoto Taro Column ㉔ " Monkey world "

岡本太郎コラム㉔東風西風「サルの世界」

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モニュメントの制作を依頼されて、名古屋の犬山ラインパークを見に行った。ここには有名な「日本モンキーセンター」がある。現在ほぼ百種類の猿(さる)が集められているそうだ。その点、世界一だろう。珍しい動物園だ。

順を追って見に行くと、奇想天外である。猿族なんて、われわれ、つい一まとめに考えてしまうのだが、ここのはほとんどが想像を絶する不思議な色・姿をしている。顔、しっぽ、毛皮、まことに独自。粋をこらして、そのバリエーションたるや、ケンラン多彩である。そのくせ表情がひどく人間くさいのだから見倦(あ)きぬ面白さだった。

檻はコンクリート製の長屋造りだ。大体似たような種類を隣あわせにしているのだが、奇妙なことを発見した。

仕切りの金網ごしに、ちょっとした隙間(すきま)を通して、隣同士、激しいイガミあいである。互いの険しい目。憎悪の表情は人間のそれよりもはるかになまなましい。センターの人に聞いたら、もし一緒の檻に入れたらどっちかが殺されてしまうまでやるそうだ。

ところで、そのすぐ近くに一群の猿がトナカイと一緒に放し飼いにしてあった。一緒に日なたぼっこして、この方はひどくのどかだ。反発と同調の、その正反対なムードを見て、私は不思議に感じ打たれた。

なぜ、近しい者同士の方が憎みあうのだろう。われわれはとにかくヒューマニズムの観念にひきずられて同族の和を強調するが。あのうたい文句はむしろその逆の危険を予感するからこそなのではないのか。憎しみは愛と裏腹でそれは生物の自然に合致した行動のように思えてくる。

人間世界でも、地域社会、仲間集団、職能的な何々壇、それぞれ内部では、外からは想像できない憎しみあいで渦を巻いている。あまりにもお互いに似ているので自己嫌悪(けんお)をおこすのか、あるいは己(おのれ)を確かめてみたい戦闘的な衝動なのか。

私はこの公園に生物の葛藤(かっとう)をおおらかに、激しく見おろすモニュメントを構想している。

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