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COMA-CHI TALKS ② “ Being I ”

COMA-CHI対談②「“I”であること」

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日本を牽引する女性ラッパーであるCOMA-CHIさんとの対談です。
第二回目は「役割を演じる」

〈前回までは〉
①「わたしがはじめた頃は女性のラッパーってほとんどいなかったんです。」

「『自分は女性の代弁をしなければいけないの?』って思い込んでしまって。」

平野:女性ラッパーって、いまでもそんなに多くはいないんですか?

COMA-CHI:そうですね。それでも、以前に比べればだいぶ増えましたけど。

平野:まあもっとも、性別なんて音楽には最初から関係ないけどね。

COMA-CHI:でもやっぱり、さっきの話じゃないけど、ジャズやヒップホップは男のものという先入観はありますよね。

平野:そういう部分で、女性であることの葛藤や苦悩みたいなことって、なにかありました? 業界の長老に「女がラップ? 笑わせるなよ」って言われたとか。

COMA-CHI:そういうことはなかったけど、お客さんの前に立ったときの場の冷め方はすごいものがありました。

平野:女だから場が凍る? うわー、それはキツいなあ。

COMA-CHI:「あー、これはどうやっても盛り上げられないな」っていう絶望的な状況でした。「なんだ、女のラッパーか」っていう、えも言われぬ冷たい空気が……(笑)

平野:そこを闘っていくのは、ものすごいパワーが必要だったでしょ? なにせそれって理屈じゃないから、いちばん手強い。COMA-CHIさん、タフだなあ。

COMA-CHI:「こんなに冷めている場を盛り上げられたらすごいじゃん!」「マイナスからはじまったほうが、むしろやりがいがあって楽しいじゃん!」と思って。なので、葛藤という感じではなかったです。

平野:まさに正面突破だ。強いなあ。

COMA-CHI:「やってやる!」って、アドレナリンがドバドバ出ていたので(笑)。

平野:うん(笑)。

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COMA-CHI:それと、 いま「MCバトル」っていうのが、流行ってきているんですけど……

平野:それ、ダースさんも言ってたな。ラップでディベートするっていうか……ラップを武器に対戦するんでしょ?

COMA-CHI:そうです。わたしも昔やっていたんですけど、両国国技館で大きな大会があったんですよ。男が100~200人のところに、女性はほぼわたしひとりで……

平野:おー! しびれる!

COMA-CHI:(笑) 主催者側は女性が出ることも勝ち進むことも想定していなかった。だから、決勝戦を本物の土俵上でやる流れにしていたんです。

平野:女性はぜったい土俵にあがれないからね。

COMA-CHI:そう。それなのにわたし、勝ち進んじゃって。決勝まで行っちゃったんです。

平野:すごいじゃない!

COMA-CHI:それで、決勝戦の前に審議になっちゃって。

平野:えー!(笑) そりゃ真っ青だったろうな、主催者は。

COMA-CHI:ですよね。

平野:で、どうなったの?

COMA-CHI:今回は相撲の神聖な儀式じゃなくてイベントだからということで、特例としてOKっていうことになりまして。

平野:えっ!! じゃ、あがったの? 土俵に?

COMA-CHI:はい。ヒールは脱いでくださいって言われましたけど(笑)。

平野:すごいなあ。いまだに大問題になるテーマだもんね、それ。もしかして、土俵にあがった女性って、COMA-CHIさんだけじゃない?

COMA-CHI:かもしれないですね。

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平野:それにしても、MCバトルの敵はぜんぶ男。声量にしろ、図体にしろ、パワーではとうぜん男に分がある。

COMA-CHI:はい。

平野:そこをガチンコでぶつかっていく。COMA-CHIさんは、そのパワーをどうやって身につけたんだろう?

COMA-CHI:うーん、よくわからないけど、「負けてたまるか!」っていう……

平野:まわりは相当驚いたでしょ? 女性ラッパーが決勝まで行っちゃったんだから。

COMA-CHI:そうやってバトルで結果を残したら、それまで「女なんて……」と馬鹿にしていた人が、「いままでとはちがうのが出てきたぞ!」って注目するようになって。

平野:うん、そうだろうな。

COMA-CHI:それでメジャーレーベルからいっぱいオファーが来るようになったし、ヒップホップ界からも期待されるようになりました。

平野:「新しい風」みたいな感じだったんだろうね。

COMA-CHI:「女性のことを歌える子が出てきたぞ」っていう感じもありましたし。

平野:ヒップホップ業界も新しい発見をしたわけだ。

COMA-CHI:ただそのときに「自分は女性の代弁をしなければいけないの?」って思い込んでしまって。

平野:ああ、それはわかる。自分に期待されているのはこの役割だ、っていう大きなプレシャーを感じたんだね。

COMA-CHI:わたしはその役割を担わなければならないんだって。で、じっさいそれを演じていました。

平野:演じていた?

COMA-CHI:はい。

平野:そうか、そうやって自分を追い込んでいったんだね。いつくらいのことですか?

COMA-CHI:メジャーからリリースしていたときです。

平野:「女性の立場を代弁することがミュージシャンとしてのわたしのミッションだ」と。

COMA-CHI:はい。そういう役割を与えられたと思っていました。



次回は「アーティスト」

③「『このままじゃ音楽が嫌いになる! 情熱が死ぬ!』みたいな気分になったんです(笑)。」

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COMA-CHI

東京都出身のラッパー/歌手。
ロック・バンドやアコースティックギターの弾き語りなどから独学で音楽活動を開始。
15歳でヒップホップに傾倒し、2003年よりラッパーとして始動。
MCバトルで輝かしい戦績を残した後、メジャー・デビュー。
出産・育児期間を経て、2018年に5thアルバム『JOMON GREEN』をリリース。

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