Talks

COMA-CHI TALKS ④ “ Being I ”

COMA-CHI対談④「“I”であること」

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日本を牽引する女性ラッパーであるCOMA-CHIさんとの対談です。
第四回目は「縄文のこころ」

〈前回までは〉
①「わたしがはじめた頃は女性のラッパーってほとんどいなかったんです。」
②「『自分は女性の代弁をしなければいけないの?』って思い込んでしまって。」
③「『このままじゃ音楽が嫌いになる! 情熱が死ぬ!』みたいな気分になったんです(笑)。」

「太陽の塔のモチベーションは縄文だったということですか?」

平野:メジャーって、その業界のビジネスのメカニズムを守りながら利益をあげるスキームを確立した組織のこと。メジャーはビジネスのために、つまりは利益をあげるために存在する組織体だから、基本的には「ビジネスになるか否か」だけを考えます。

COMA-CHI:はい。

平野:そういう意味でいえば、太郎も“メジャー”には行かなかった。なにしろ絵は売らないと決めていた人でしたからね。「どうすれば高く売れるか、評価されるのか」みたいなマーケティングの発想が1ミリもない。

COMA-CHI:太郎さんのモチベーションって、なんだったんですか?

平野:自身の問題意識や、自分のなかに湧きあがってきたものを吐き出し、世に問うことだったんじゃないかな。その意味では、“NEW COMA-CHI”のありようとおなじです。

COMA-CHI:なんか、嬉しい(笑)。

平野:いちばんのテーマは、おそらく「人間とはなにか」「人間らしい生き方とはなにか」だった。その一環として、「日本とはなにか」「日本人とはなにか」を考えつづけていたと思います。

COMA-CHI:そういうなかで、縄文に着目したんですね?

平野:そう。太郎は縄文こそが「オリジナルの日本」であり、「ほんとうの日本」だと考えた。そしてなにより、縄文時代の生き方こそが人間的だと考えたんです。

COMA-CHI:はい。

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平野:狩猟採集時代には、いつ殺られるかわからないという恐怖に耐えながら、草むらに潜んで獣を待った。そして獲物が現れたら一斉に飛び出していく。怖かったと思います。でも孤独や恐怖が大きかったからこそ、獲物を仕留めたときには歓喜が待っていた。そこには何者にも支配されない自由と尊厳があった。

COMA-CHI:すごくわかります。

平野:ところが農耕文化が入ってきて、毎日おなじことを繰り返すようになると、役割分担ができ、官僚型の階級社会ができ、貯蓄をするようになり、「明日も今日とおなじでありますように」と願うようになって……

COMA-CHI:小市民的な安定ですね。

平野:弥生になると、縄文の精神は駆逐され、平べったい社会になってしまった。

COMA-CHI:なるほど。

平野:ところが太郎は、東北と沖縄で、日本人なかにまだ縄文の精神が宿っていることを発見する。それが太陽の塔がつくられるきっかけになったとぼくは考えているんです。

COMA-CHI:太陽の塔のモチベーションは縄文だったということですか?

平野:ぼくはそう思う。太陽の塔だけでなく、大阪万博で太郎がつくったテーマ館全体が、その思想でつらぬかれていると。一言でいえば、「日本人の血のなかにある誇らかな縄文の心を取り戻せ!」。ほら、この本を見るとわかりやすいと思うけど……

COMA-CHI:これがテーマ館?

平野:そう。これが最初のゾーン「いのち」。タンパク質や DNAなど、生命をつくっている物質が観客を包み込んでいます。真ん中には、さまざまな生命の誕生シーンが映し出されている。そしてこれがつづくゾーンの「ひと」。自然とともに生きた狩猟時代の暮らし、闘争のドラマが描かれています。

COMA-CHI:ほんとだ! さっき話のあった、厳しくも誇らかな生きざまですね。素敵!

平野:次のゾーンは“神々の森”を想起させる「いのり」。世界から集めてきた仮面と神像が、呪術的な世界をつくっています。太郎はその中央に自作の巨大な仮面をセットした。それが《地底の太陽》です。

COMA-CHI:すごーい!

平野:そこを通り抜けると、いよいよ太陽の塔のなかに入ります。中心にあるのは高さ41mの《生命の樹》。アメーバから人類に至る40億年の“生命の歴史”を造形化したものです。

COMA-CHI:これは見たい!

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平野:《生命の樹》は、いちばん下の原生生物から最上段の人類まで、この地球を生きた生きものたちが、時間を超えて一本の樹に“実って”いる。

COMA-CHI:ダイナミックな空間ですよね。

平野:生物進化の姿を表したものだけど、「アメーバは下等で人間がいちばん上等だ」と言っているわけではなくて、むしろ逆。「足もとをよく見てみろ。人間のなかには40億年におよぶ“いのちの時間”が刻まれている。過去と未来のすべてが1本につながっているんだ」と。

COMA-CHI:根源を見ろってことですよね?

平野:そう。太郎が大阪万博で語っているのは、けっきょくのところ、アメーバから呪術のこころをもっていた狩猟時代までの話。ぼくたちの血のなかに刻まれているものの話です。

COMA-CHI:縄文のこころを思い出せって言うために?

平野:ぼくはそう思う。「縄文の精神を呼び覚ませ!」「ほんとうの日本を取り戻せ!」って。

COMA-CHI:なるほど……いやもう完璧だ!

平野:(笑)



次回は「嘘をつきたくない」

⑤「お客さんのエネルギーのほうがよっぽど縄文なのに、このままのわたしが縄文を歌ってもしょうがない。」

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COMA-CHI

東京都出身のラッパー/歌手。
ロック・バンドやアコースティックギターの弾き語りなどから独学で音楽活動を開始。
15歳でヒップホップに傾倒し、2003年よりラッパーとして始動。
MCバトルで輝かしい戦績を残した後、メジャー・デビュー。
出産・育児期間を経て、2018年に5thアルバム『JOMON GREEN』をリリース。

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