Talks

COMA-CHI TALKS ⑤ “ Being I ”

COMA-CHI対談⑤「“I”であること」

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日本を牽引する女性ラッパーであるCOMA-CHIさんとの対談です。
第五回目は「嘘をつきたくない」

〈前回までは〉
①「わたしがはじめた頃は女性のラッパーってほとんどいなかったんです。」
②「『自分は女性の代弁をしなければいけないの?』って思い込んでしまって。」
③「『このままじゃ音楽が嫌いになる! 情熱が死ぬ!』みたいな気分になったんです(笑)。」
④「太陽の塔のモチベーションは縄文だったということですか?」

「お客さんのエネルギーのほうがよっぽど縄文なのに、このままのわたしが縄文を歌ってもしょうがない。」

COMA-CHI:わたしは高校時代に『自分の中に毒を持て』という本を読んで、太郎イズムがその後の自分の生き方に作用している気がして……

平野:(笑) そういう人、たくさんいますよ。

COMA-CHI:別にずっと意識していたわけじゃないのに、絵本を描いたときになぜか「太陽の塔」って言葉が出てきて。

平野:うん。

COMA-CHI:それで2~3年前に、ある雑誌で縄文の火焔土器を見たときに「ん?」と思って。これからの時代にこういうのが大切になるなって直感したんです。

平野:土器を見て?

COMA-CHI:はい。それで縄文土器に興味をもって調べたら、再発見した人として太郎さんの名前が出てきて、「あっ、太郎さんだ! また出てきた!」って。

平野:(爆笑)

COMA-CHI:つねに引き寄せられているんだなって思いました。だから、今日ここに来ているのもすごく不思議なんです。

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平野:それがアルバム『JOMON GREEN』につながった?

COMA-CHI:そうです。でもアルバムを出してから、これはもっと海外にも伝えたいと思って、オーストラリアやタイに行ってライブをやったんですけど、そうやって海外で発信しているときに、自分の根拠が深くなきゃいけないなって気づかされたんです。

平野:縄文に対する深い思いみたいなこと?

COMA-CHI:はい。で、その後、石垣島、西表島でライブをやったんですけど、そのときに、「えっ? お客さんのほうがぜんぜん縄文じゃない!」 って(笑)。

平野:(笑)

COMA-CHI:お客さんのエネルギーのほうがよっぽど縄文なのに、このままのわたしが縄文を歌ってもしょうがない。そう気がついて、石垣島に引っ越しました。

平野:え、石垣に引っ越した? ほんとに?

COMA-CHI:はい。

平野:いい話だなあ。

COMA-CHI:(笑) 石垣島に伝わる「八重山民謡」にすごくインスパイアされたりしています。いまはそうやって、新しい音楽を自分のなかに取り入れて、自分なりの新しい音楽をつくりたいっていう段階。そんなときにまた太郎さんのこの本、『沖縄文化論』に出会っちゃったんです!

平野:ああ、なるほど。これはほんとにいい本だよね。

COMA-CHI:太郎さんは石垣島にも行かれていて、八重山の曲が載っていたりして、「また現れた!」って。

平野:また出た!(笑)

COMA-CHI:ほんとに不思議なんですよね。

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平野:COMA-CHIさんは、作品をとおして自分の信念や価値観を世の中に送り出す道を選んだわけだけど、おなじように「オレはこう考える」「オレはこうする」と社会に宣言したのが太郎です。

COMA-CHI:はい。

平野:太郎は「これが世間の常識です」みたいな話はしないし、人から聞いた話もしない。ぜんぶ「オレはこう考える」「オレはこうする」と言うだけ。本に書いていることもぜんぶそうです。

COMA-CHI:たしかに。

平野:なにしろ「法隆寺は焼けてけっこう」って本に書いちゃう人だから。

COMA-CHI:(笑)

平野:だれかと利害調整をしていたらこんなふうにはならないし、すべての責任を引き受ける覚悟がなければこんなことはできない。けっきょく、やっていることが “ビジネス”じゃないからできるんだよね。これは“メジャー”ではぜったいにできない。

COMA-CHI:ほんとにそうですね。

平野:一方、“メジャーの世界”には多くの人に届く喜びがある。

COMA-CHI:はい、ありました。

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平野:COMA-CHIさんは、「多くの人に届けたい」よりも、「なにを届けたいか」を上位に置いたってことです。

COMA-CHI:嘘をつきたくないということかもしれません。メジャーのときは、良くも悪くもある種の嘘をつかなければいけない雰囲気だったので。

平野:ビジネスだから、しょうがないよね。

COMA-CHI:まわりがビジネスで、そことうまくやらなきゃいけないということも理解はできていたんです。でもそれをやるとわたしが保てない。どちらかを選ばなければならなくなったときに思い出したのは、「なぜ自分は音楽をはじめたのか」ということでした。

平野:うん、それでさっきの話になるんだね。



次回は「わたしの世界」

⑥「自分のクリエイションに忠実でありたいという、そこなんでしょうね。」

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COMA-CHI

東京都出身のラッパー/歌手。
ロック・バンドやアコースティックギターの弾き語りなどから独学で音楽活動を開始。
15歳でヒップホップに傾倒し、2003年よりラッパーとして始動。
MCバトルで輝かしい戦績を残した後、メジャー・デビュー。
出産・育児期間を経て、2018年に5thアルバム『JOMON GREEN』をリリース。

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