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From the diary ② "Stone Buddha in Suwa"

岡本太郎コラム② 日記から「諏訪の石仏」

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諏訪神社の御柱を見に行った時、まったく偶然に、不思議な石物を発見した。

春宮の裏の森と細い川を隔てた向こうの田んぼの真中に、どっかりと座っている。身体はまったくの自然石だ。裾(すそ)のひらいた巨大なおむすびのような。その上に小さな、しかしぼーっとした怪異な表情の顔をのせ、前面には袈裟(けさ)と、組んだ手がわずかに浮き彫りしてある。

ユーモラスでもあり、何ともいえぬ神秘をただよわせている。浮き彫り全体が簡単なタッチだが、エゾ文様のようで、太々とした味わいがある。まことにユニークだ。

「万治」の銘があり、古いものだが、だれにも知られていないし、土地の人たちもまったく問題にしていない。だが孤独で、堂々としている。

一般の石仏は、石を素材として刻み、仏の形を作ってしまう。彫りあげられた結果、形が大事なのだ。しかし本来的にそれは逆だ。

石自体が、人間にとって神聖なのである。古代には石そのものが神だったのだ。ところがやがて神や仏が人間像としてイメージされるようになると、手先で、形を作り上げ、いわゆる神体として礼拝することがはじまった。

ところで、諏訪の石仏は、まだ石そのものという感じなのだ。あのおおらかで、馬鹿デカイ、むしろ無表情な石の塊。自然な神聖感と、永遠の重みをもって、ドカンと座っている。私にはこの方が、うまく作られた他の石仏や磨崖仏(まがいぶつ)よりはるかに本当に思われる。

諏訪神社の「御柱」は有名な樹の祭りだ。それを見に来て、「石」の神聖を発見したとは。思いがけぬ、嬉(うれ)しいことだった。

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