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From the diary ⑦ "Decorated kofun"

岡本太郎コラム⑦ 日記から「装飾古墳」

1978-67歳《歓喜》制作中 月夜野にて

熊本で講演を頼まれたついでに装飾古墳を見に行った。実は古墳を見せてもらいたいから講演を引き受けたというのが本当だが。

北九州から有明海のあたりまで墓の内部や棺に独特の壁画や浮き彫りを施した装飾古墳がたくさんある。私も幾つか見ているが、非常に興味深く、ひきつけられる。

高松塚は美女の壁画で一躍有名になったが、九州のは丸や三角形の抽象文様、あるいは舟に馬や武人が乗っている、いわゆるプリミチーブなものだ。より力強く、神秘的な文化遺産なのだ。

ところが、高松塚が発見と同時に手厚く周到な保護の手を加えられているのとは大違いで、こちらの方はまるで放りっぱなし。近ごろ絵具が剥落(はくらく)して、ほとんど絵が見えないほどになってしまったのさえあると聞く。地元の有志の「装飾古墳を守る会」が細々と、地味で熱心な運動を進めているが、国はなかなか動いてくれないようだ。

誰(だれ)でも、器用に、うまそうに仕上げた職人芸ばかりに価値があると思っているのだ。手先ではなく、精神そのものが結晶した九州の装飾古墳。まことに貴重な芸術であるのに、素朴で、下手に見えると、価値がないと見下す。この誤った技能主義は許せない。
熊本県は幸い保存に熱心で、苦しい地方財政の中から予算を出して管理している。近々まったく見られなくなると聞いたので、無理して出かけたのだ。

言いようのない感動だった。写真や画集ではよく知っているものでも、墓室のとざされた空間で、ジカに接すると、さらに新しいひろがりを発見する思いがするのだ。

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