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From the diary ⑪ "Ethnographic Museum"

岡本太郎コラム⑪ 日記から「民族学博物館」

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万国博の跡地に民族学博物館が出来ることになって、いま着々と準備が進んでいる。私にとっては長い間夢だった。

経済的に高度に発達はしたが、そのシステムの中に巻き込まれて空(むな)しくなっている現代人。一体人間はどう生きるべきか、今こそ、なま身で考えてみる必要がある。

民族学博物館は、日常の時間と空間を越えて、世界のあらゆる民族の生き方の証拠を綿密に集め、記録し展示する。それは単に学問のためだけではない。だれでもがそこに行って、己を投げ込んでみる。遠まわりのようだが、それこそ自分を取りもどし、世界をとらえ直す道なのだ。

私はパリで抽象芸術運動に参加しながら、「人間博物館」に通って民俗学を学んだ。「美術」のわくだけに己の生命を狭めないで、存在の全体性を確かめたいという情熱だった。

日本にも、そのような場がほしい。明治百年の記念事業の委員になった時も、強烈にそれを主張した。私があまり熱心なので、「岡本さんはいろいろ珍しいものを集めて、絵の材料にしようとしているんでしょう」などと陰口を言われたくらいだ。

万国博のチャンスにも世界中から民俗資料を集めた。将来、博物館ができるとき一つの核になるように、泉靖一、梅棹忠夫両教授に頼んで、蒐(しゅう)集団を組織した。泉さんはすでにない。が梅棹さんはじめ、さまざまの分野の専門家たちがその後もねばり強い努力を続けて、ついに民族学博物館の実現にこぎつけた。

世界と無限の交流をする場所。ここでは研究者も一般のピープルも人間存在の意味の、なまなましい暗示を受けるだろう。日本文化にとってうれしいことだ。

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