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Think ④ "Park in the heart"

岡本太郎コラム④ 思うこと「心の中の公園」

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だれよりもせっかちでて忙しくしている私が、ふとあたりを見わたして、この世の中の目まぐるしさにゾッとする瞬間がある。ひろい東京の町々、全国のあらゆるところで、みんなテンテコ舞いして働いている。そうでなければ一人前に食って行けないのだ。追っかけ、追いまわされる悪循環だ。ふだんは馴れきっているからそれに気がつかない。

戦前ある中国人が私に、つくづくそう言った。「日本に来て一番驚いたのは、どこに行ってもみんな何か仕事をしていることだ。遊んでるがいない」

まったく、このチョコマカしたのはわが国家独特の現象なのだろうか。

私はパリ風景を思いだす。マロニエの並木道を、年よりも若い者も、ぷーらぷーらそぞろ歩きしている。日なたぼっこしながら、セーヌの河面をを眺めている。東京の町ん中であんなにぼんやりたっていたら、つきとばされるか、どなりつけられるだろう。

近ごろ都市生活にうるおいを与えるために、あちこちで小公園を作る計画があるという。結構なことだ。だがよく道ばたで見かける、おやおやこれが公園かと悲しくなるような、白っ茶けた空地。あれではまったく味気ない。

あんなところに、いこいいをもとめるほど、すっとぼけた人はいないだろう。

一日の仕事に疲れる。家に帰れば、またがたがたしている。世話女房の愚痴も聞かなきゃならない。そこで、つい飲み屋にでもととび込む。しかし一ぱいやって遅くなったというんならまだしも口実になるかもしれないが、この忙しい世の中に公園を散歩してきたなんて、第一、奥さんに申し訳がたつまい。

そんな公園なら、いくらあっても仕様がない。これはまことに矛盾である。だからこの日本には公園より、まず、静かにいこえる心の余裕が必要である。心の中の公園。

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