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岡本太郎コラム⑤ 思うこと「騒音」

1980年代 青山アトリエにて

わが家のあたりは住宅地として、いつも人にうらやましがられるほど、静かな環境なのだが、実は意外なほど騒音に悩まされている。二、三百メートルの近くに小学校があるからだ。

子供たちのカン声は、いくら騒いだってたいして響かないし、自然の声だから、まだいい。やりきれないのは、拡声器で放送される先生の声である。屋根々々のを飛び越えて、町じゅうに響きわたる。上から奇妙に押しつける、親切なような、ナメたような、特殊な先生調。

朝の八時半から、半日鳴りどおしのことがある。まず朝礼だ。

「三年の男子、列が曲がっています」

「後の方、おしゃべりをしないで」

なんてのから始まって、校長先生の訓示、交通事故の注意から、体操の号令。やがて、「教室に残っていないで、運動場で遊びなさい」「週番は教室に集まってください」

そして、午後三時頃になると、生徒委員というのか放送部というのか知らないが、子供のくせに変に気どったアナウンサー調で、音楽をかけながら

「さよなら放送の時間が参りました。教室や運動場に遊んでいる人は、早く帰りましょう。明日もまた、よい日でありますように」……首すじのあたりを逆なでされるような、いや味な文句である。第一、何という日本語か。

こういうのが毎日、暴力的にあたり一帯に響きわたる。むし暑いのに窓をしめきって防衛するのだが、一向にききめがない。私のように、家にいて仕事をしなければならない者には絶望的である。

今日は校内水泳大会だ。いまこの原稿を書いていても、「六年女子自由形、第1のコース何々サーンさん、第2のコース……」

子供のことだから、とつい我慢してしまうのだが、そういう治外法権に居すわってあたりはばからぬ先生たちの無神経さは、気になる。先生方、大人の方も大事にしてください。

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