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佐藤タイジ対談⑥「オレの〝踊り方〟」

ロックバンドTHEATRE BROOKのボーカル、ギタリストであり、すべてソーラー電気だけで開催する野外ロックフェス「中津川THE SOLAR BUDOKAN」の主宰、佐藤タイジさんとの対談です。
第6回目は「根底にあるもの」。

〈前回までは〉
①「だから『オレ、ポールが弾いているベースをやる!』って言ったんだけど――」
②「あれもこれも好きだから、あれにもこれにもなってみたいけど、こっちも好きだから、こっちにもなってみたい……みたいな。」
「オレは上手に弾きたいわけじゃなくて、『ギターを弾きたいんだ!』っていう感じなんですよ、うまく言えないけど。」
④「混ぜ混ぜするものが好きなのか? 食べ物も冷奴とご飯を混ぜるのが大好きだし。」
⑤けっきょく思ってもいないことを無理矢理やったところで、いい結果にはならないし、伝わりませんからね。

「踊れるのが好き。踊れる音楽が聴きたい。どんなものであれ踊れるのが好き」

平野:作曲はどういう手順で?

佐藤:ギターを弾きながら、ですね。

平野:よく訊かれると思うけど、曲と詞はどっちが先なんですか?

佐藤:最近は一緒にって感じです。ギターを弾いているうちにノリが出てくると、自然に言葉も出てくるんですよ。以前は歌詞を先に考えて、メロディを考えて、それで歌詞をメロディに乗せる、っていうやり方をしていたんだけど、同時に降りてくるときもあって、そのうちにだんだんそっちのほうが上手くいくようになって。

平野:作曲って、たとえば風呂に入っているときにメロディが浮かんできた、みたいなこともあるんだろうけど、人によっては、「今日は作曲の日」と決めて、朝、仕事部屋にきちんと〝出勤〟する人もいる。タイジさんはどんな感じなんですか?

佐藤:ギターを弾いているときに自然に出てくるんですよ。降りてくるのは明け方が多いかな。飲んで帰ってきた明け方に、なんとなしにギターを弾いているうちに意外にいいのが浮かんでくる、っていうケースが多いですね。



平野:THEATRE BROOKのメンバーにはDJもいるでしょ? DJは典型的な〝デジタルの民〟だと思うけど、そもそもタイジさんは音楽とデジタルの関係をどういうふうに考えてます?

佐藤:うーん、どうだろうなあ……

平野:いまではスタジオでどんなにミスっても、あとでいくらでも直せるし、なんなら音程だって修正できる。やろうと思えば、人間の指では不可能なスピードでギターを〝バーチャル演奏〟させることだって朝飯前でしょう。デジタル技術の進歩は、生身の人間の営みだった音楽のありようを大きく変つつありますよね?

佐藤:そうですね。

平野:そのあたり、タイジさんはどう考えているんだろうと。最後は自身の身体性・肉体性を守りたいと考えているのか、あるいはいい音楽をつくれるなら生身だろうがデジタルだろうがどっちでもいいんだ、そんなことを考えること自体がナンセンスなんだよ、と考えているのか――。DJをバンドメンバーに加えているくらいだから、デジタルを敵視しているとは思わないけど。

佐藤:そういう意味でいえば、オレは身体性をとても大事に考えています。歳を重ねるにつれて、音楽のアスリート的な部分がますます大事な要素だと思うようになってきて。いい演奏するためには肉体的にいい状態をキープしなければならない。そこはとても重要だと思っています。

平野:なるほど。

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佐藤:一方で、テクノロジーをとり入れることにまったく違和感はありません。THEATRE BROOKはバンドにDJを入れているけど、じつはそんなに多くないんですよ。Dragon Ashくらいじゃないかな。バンドにDJを入れるのってけっこう大変で、それができるDJは限られます。たまたまうちのDJはうまいからそれができる。生身の演奏と一緒に演れるDJって、もしかしたら世界を探しても10人もいないかもしれない。

平野:テクノロジーを導入しようと考えたのは、それまでのTHEATRE BROOKとはちがうステージに立ちたいと思ったからでしょう?

佐藤:そうですね、それこそ90年代初頭ですよ。当時、ロックバンドの連中はまだヒップホップを〝ピコピコサウンド〟なんて言ってバカにしていた。だけどオレは好きだったんです。DJが音楽をつくるっていう考え方そのものをね。オレはギタリストだけど、当時から好きだった。

平野:〝ピコピコサウンド〟という言い方の背後にあるのは、死に物狂いで練習してプロになったミュージシャンたちの本能的・直感的なアレルギー反応ですよね。きっと「あいつらテープレコーダーみたいなもんだろ?」なんて笑っていたにちがいないし、その気持ちもよくわかる。

佐藤:たしかにそういうヤツのほうが多かったですね。でもオレは「おもしろいじゃん」って考えるタイプなんです。

平野:かといって、すべてパソコン上で音楽をつくるわけじゃないでしょ?

佐藤:もちろん。そういうふうにもできるんだろうけど、ギターを弾かない佐藤タイジは「佐藤タイジ」じゃないですからね。

平野:そりゃそうだ(笑)。

佐藤:THEATRE BROOKの元マネージャーがいまだによくライブに来てくれるんだけど、彼女が言うには、「踊れるのが好き。踊れる音楽が聴きたい。どんなものであれ踊れるのが好き」。オレもまったく同感なんですよ。踊れないとダメだと思う。

平野:タイジさんにはそういう血が流れているんだろうな。

佐藤:根底にあるのは、まちがいなく阿波踊りです。

平野:あ、そうか!

佐藤:徳島人は小さいころから踊ります。踊りのうまいヤツが尊敬される。仕事ができるできないは関係ない。

平野:なるほど。

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佐藤:踊りのうまさにこそ価値がある。もちろんそれに対して「バカじゃないの?」と思う人もいます。でも「踊りがうまいほうが偉いよね」みたいな空気はたしかにある。おなじように「ギターがうまいほうが偉い」っていう価値観がオレのなかにあるんですよ。だから、自分で言うのもナンだけど、「オレ、ギター、うまいからいいじゃん!」みたいなところがあって(笑)。

平野:もちろんタイジさんはうまいけど、ぼくはむしろ「強い」んだと思う。強度があるんですよ、タイジさんのギターには。もはやうまいへたの尺度じゃ測れない。きっとそれがリスナーを魅了しているんです。

佐藤:強い? もしそうなら嬉しいな。

平野:技術だけなら修練である程度のところまでは行けるけど、「強度」はトレーニングでは手に入らない。タイジさんはどうやってそれを手に入れたんだろう? 「才能やセンスの問題だ」っていう身も蓋もない話?

佐藤:う〜ん、なんだろう? もしそういうものがオレのなかにあるとしたら、やっぱり阿波踊りじゃないですかね。要するにそれがオレの〝踊り方〟なんですよ。それを信じているんで。

平野:ああ。

佐藤:それと「オレのギターって最高!」というのが相まって(笑)。ギターに対する信頼っていうか――。

平野:けっきょく迷いがないから強いんだろうな。タイジさん、迷いってないでしょ?

佐藤:そうかも。

平野:タイジさんからギターを取りあげたら、きっとすぐ死ぬね(笑)。

佐藤:それは無理(笑)。あ、でもギターがなくても、オレのなかにギターがあるんで。いつでもギターの音がオレのなかにあるんですよ。もうそういうところにいる。

平野:おー! ロックスターの言うことはやっぱりカッコいいな。

佐藤:(笑)



次回は「THE SOLAR BUDOKAN」。

⑦「『それならソーラーエネルギーでやればいいじゃないか』っていうアイデアが浮んできた。」

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佐藤タイジ

徳島県出身。ギターボーカル日本代表。
太陽光発電システムによるロックフェス
「THE SOLAR BUDOKAN(since 2012)」の主宰者。
日本の音楽界と再生エネルギー界を牽引する稀有なモジャモジャ頭。
「ロックスター」「ファンキー最高責任者」は彼の代名詞。
’86、シアターブルック結成。
’91、RedHotChili Peppersのフロントアクト。
’95、EPICからデビュー。「ありったけの愛」がJ-WAVE.FM802など主要FM局でヘビーローテーション。
ちなみに太陽の愛を歌ったこの曲を歌い続けたことが
「THE SOLAR BUDOKAN」のアイデアの源泉。
この他、クラブ系ユニット「The SunPaulo」ではエレクトロ。
加山雄三率いる「The KingAllStars」では主要メンバー。
そして高円寺阿波おどりとのコラボ「佐藤タイジ&華純連」は日本の音楽史の転換点となる壮大なプロジェクト。楽曲「踊らなソンソン」はiTunes.Spotifyなどで絶賛配信中。
佐藤タイジは間違いなく日本代表ロックスターなのだ!
■佐藤タイジ HP
http://www.taijinho.com/
■シアターブルック HP
http://www.theatrebrook.com/
■THE SOLAR BUDOKAN HP
http://solarbudokan.com/

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