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佐藤タイジ対談⑦「オレの〝踊り方〟」

ロックバンドTHEATRE BROOKのボーカル、ギタリストであり、すべてソーラー電気だけで開催する野外ロックフェス「中津川THE SOLAR BUDOKAN」の主宰、佐藤タイジさんとの対談です。
第7回目は「THE SOLAR BUDOKAN」。

〈前回までは〉
①「だから『オレ、ポールが弾いているベースをやる!』って言ったんだけど――」
②「あれもこれも好きだから、あれにもこれにもなってみたいけど、こっちも好きだから、こっちにもなってみたい……みたいな。」
「オレは上手に弾きたいわけじゃなくて、『ギターを弾きたいんだ!』っていう感じなんですよ、うまく言えないけど。」
④「混ぜ混ぜするものが好きなのか? 食べ物も冷奴とご飯を混ぜるのが大好きだし。」
⑤けっきょく思ってもいないことを無理矢理やったところで、いい結果にはならないし、伝わりませんからね。
⑥「踊れるのが好き。踊れる音楽が聴きたい。どんなものであれ踊れるのが好き」

「『それならソーラーエネルギーでやればいいじゃないか』っていうアイデアが浮んできた。」

平野:この10年で音楽を取り巻く状況は大きく変わりました。なかでも決定的なのは、これまでLPやCDなどにパッケージされ、ある種の〝資産〟と見なされていた音源が、ストックからフローになりつつあること。いまではほとんど消耗品です。流れていってそれでおしまい、みたいなね。そんな激変する音楽世界のなかで、タイジさんはこれからどうやっていくのか? 展望や戦略があったらぜひ聞かせてください。

佐藤:いまソロで阿波踊りをやっているんですけど、それはずっとつづけようと思っています。ゆくゆくは三味線も習いたいし。もちろんじっさいに弾くのはギターだけど、〝弾く気もち〟みたいなことを学ばないといけないと思ってるんです。

平野:へえ。

佐藤:日本は邦楽/洋楽をわけるけど、インターネットの世界には国境がない。現実世界だって、長い目で見れば、いずれ国境も国家もなくなっていくのかもしれない。発想がちょっとSF的過ぎるかもしれないけれど(笑)。でも、もし仮にそうなっていくとしたら、最後はどちらに向かっていくのが人間は幸せなのか、っていう話に行き着くと思うんです。

平野:なるほど。

佐藤:それこそ大阪万博のころは、みんなが理想を掲げて夢を語りあう無邪気な時代だった。いまは時代がちがうと言うのは簡単だけど、でも現代だって理想や夢が必要であることに変わりはないとオレは思うんです。アーティストの役割とは、音楽でもあれ絵であれ、それを提示することじゃないかってね。

平野:うん、よくわかる。

佐藤:そういう意味では岡本太郎さんって、ぶっ飛んでいてメチャクチャおもしろかった。太郎さんのアートには希望を感じるからです。表現をやっている以上、オレもそれが欲しい。希望を提示できなければ、こどもたちが反応するはずがないしね。それがオレの仕事だと考えているんです。

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平野:そういうことを考えるようになったのは、やはり3.11が大きかった?

佐藤:じつは3.11の前年から武道館コンサートを企画しはじめていたんだけど、3.11に襲われて、さすがにいまは無理だろうという話になったんです。でもそのときに、「それならソーラーエネルギーでやればいいじゃないか」っていうアイデアが浮んできた。

平野:「THE SOLAR BUDOKAN」ですね?

佐藤:そうです。再生可能エネルギーだけで、CO2を出さずに音楽フェスをやろうっていうプロジェクトで、最近では海外からのコンタクトも多く、あきらかに世界がそっちに向かっていることを感じます。日本で音楽をやり、CDが売れなくなっているからこそ、新しいことをはじめないと。

平野:知らない人もいるかもしれないので、「THE SOLAR BUDOKAN」について、もう少し説明してもらえますか?

佐藤:2010年の暮れにツアーをやっているとき、オレが「来年は武道館でやろう!」と言い出したんだけど、いろいろ進めていくなかであの地震が来た。正直、もはやTHEATRE BROOKの武道館なんてどうでもいいって思いました。でも復興イベントをやりながら、やっぱり夢だった武道館のことを思い出して。

平野:聖地だものね。

佐藤:でも3.11で日本は変わってしまった。変わっちゃったんだから、
もしやるとしても、それまで考えていた武道館とはちがう、別のやり方を考えなければ意味がない。そう思ったんです。それで、さっき言ったように「ソーラーでやろう!」というアイデアに行き着いたわけです。

平野:それまではシンプルに「武道館でライブを演るのって、カッコイイじゃん!」というノリだったけど、震災で世の中の価値観が動いたときに、どうすればかつて武道館を目指していたときとおなじような強い思いをもって、しかも新しい時代に相応しいプロジェクトにできるか? そう考えたわけですね?

佐藤:まさにそのとおりです。その課題に対するぼくなりの答えがソーラーエネルギーだった。でも、もちろん、ソーラー業界にツテなんかありません。そこで仕方なく、インターネットで発表したわけです。「ソーラーでやりたいと思っているんです!」と。そこから協力してくれる人をわらしべ長者のように少しずつ集めていきました。

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平野:すぐに見つかったんですか?

佐藤:比較的早い段階で、協力しましょうと言ってくる大企業が見つかったんだけど、「うちプレゼンツで!」みたいな話だったんで……

平野:一社提供か。

佐藤:すごく悩みました。「これでできる!……あ、でも待てよ。一社提供のプレゼンツ?……」って。

平野:思い描いていた〝ありよう〟とちがうじゃないかと。

佐藤:そうなんです。当初から思い描いていたのは、いろんな人たちがごちゃごちゃ集まってみんなで成し遂げるイメージだったんです。ところがその大手企業に「他社も入れてあげてください」って言ったら、即座に「ダメです!」と言われて……。それでお断りしました。

平野:そこで諦めなかったところがすごい。タフだなぁ。

佐藤:そうしたら、「他社がいてもいいですよ」って、そこまで大きくない会社が来てくれたんです。それで2012年12月20日に……。なんでこの日にしたかと言うと、アセンションの話って聞いたことあります?

平野:アセンション? なんですか?

佐藤:マヤ文明に20万年サイクルで更新されるカレンダーがあるんですけど、その起点となる日が2012年の12月21日なんです。

平野:へえ。

佐藤:ニューエイジ系の人たちを中心に、その日になにか啓示的なことが起こるぞ、と盛り上がってたんですよ。なので、武道館をやるならアセンションの日だ!と。

平野:うん。

佐藤:ところが、12月21日を押さえようとしたら、先にK-POPに取られていて――

平野:(爆笑)

佐藤:しょうがないから、1日前だけど、12月20日にしようと。

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平野:じっさいソーラーでやったんでしょう? トラブルはなかったんですか?

佐藤:あとから聞いたんだけど、当日、いろいろな会社がパネルだ、電池だと大量の資材をもってきて、さぁ繫ぐぞっていう段階になって、ケーブルの形状や規格がまったく合わなかったらしいです。

平野:なるほど。パニックになった現場の姿が目に浮かぶ(笑)。

佐藤:そうは言ってもやるしかない。そこでケーブルを切って中身を出して、繫いで、ハンダづけして……。それを当日の朝にやりました。

平野:うわー。

佐藤:おかげで電気が止まることもなくうまくいって。

平野:よかった!

佐藤:それと、これはぜひお話ししておきたいんですけど、ソーラーパネルでつくった電気がどれくらいもつのかを実験するために、本番当日にステージで使うシステムを事前にスタジオにもちこんで、アンプやミキサーに繫いでみたんですよ。

平野:消費量のチェックはしておかないとね。

佐藤:それで自分のマーシャルアンプにギターを繋いで鳴らした瞬間、オレはメッチャ驚いた。音がぜんぜんちがうんですよ。

平野:え、なんで?

佐藤:電気がキレイなんです。

平野:電気がキレイ? ソーラーだから? そんなことって、あるの?

佐藤:東京電力も言っていることですけど、コンセントに供給される電気は交流だから、波になってプラスマイナスが同時にくる。しかもいろんな場所をとおってくるので、ノイズが乗ってるんですね。

平野:うん。

佐藤:でも、日本の家電は優秀なので、多少のノイズなんてまったく問題にしない。だから気づかないんです。でも、じつは家に届いている電気って、なんていうか――わりと〝汚い〟んですよ。ところがソーラーでつくった電気はなんの混じり気もないキレイな電気。だからアンプやスピーカーの効率もいい。楽器を鳴らせばすぐわかります。

平野:おもしろいなあ。

佐藤:それが「THE SOLAR BUDOKAN」をつづけたもっとも大事な部分のひとつなんです。

平野:音がキレイだから? ミュージシャンが喜んだってこと?

佐藤:そうなんです! これは大発見だと。

平野:たしかに。まさに新たな価値の発見ですよ。



次回は「過剰な無駄遣い」。

⑧「『たぶんオレは死んでるんだな』って思うんですよ。これはもう死後の世界にちがいないと。」

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佐藤タイジ

徳島県出身。ギターボーカル日本代表。
太陽光発電システムによるロックフェス
「THE SOLAR BUDOKAN(since 2012)」の主宰者。
日本の音楽界と再生エネルギー界を牽引する稀有なモジャモジャ頭。
「ロックスター」「ファンキー最高責任者」は彼の代名詞。
’86、シアターブルック結成。
’91、RedHotChili Peppersのフロントアクト。
’95、EPICからデビュー。「ありったけの愛」がJ-WAVE.FM802など主要FM局でヘビーローテーション。
ちなみに太陽の愛を歌ったこの曲を歌い続けたことが
「THE SOLAR BUDOKAN」のアイデアの源泉。
この他、クラブ系ユニット「The SunPaulo」ではエレクトロ。
加山雄三率いる「The KingAllStars」では主要メンバー。
そして高円寺阿波おどりとのコラボ「佐藤タイジ&華純連」は日本の音楽史の転換点となる壮大なプロジェクト。楽曲「踊らなソンソン」はiTunes.Spotifyなどで絶賛配信中。
佐藤タイジは間違いなく日本代表ロックスターなのだ!
■佐藤タイジ HP
http://www.taijinho.com/
■シアターブルック HP
http://www.theatrebrook.com/
■THE SOLAR BUDOKAN HP
http://solarbudokan.com/

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LOVE CHANGES THE WORLD
シアターブルック

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