平野「太郎賞でも最初は紙でつくるんです。
企画書ですね。いわば。
だから企画書は良いけど・・・っていう作品があるんです。」
平野「若い子は、コンセプトが今までにないものであれば価値があるんだ!
って思っている人がいるんじゃないかと。」

平野「すごくバーチャルなものとして芸術を考えているんじゃないかと思うんです。」
平野「でも舘鼻くんの作品は質感とか重さとかを感じる。
革なら革のにおいというか、これって生きてたんだろうなって思うんです。」
舘鼻「手で作るほうが日本人的だと思うんです。
作品っていうのはコミュニケーションツールなので、
ものとしてあればいいって話じゃないんです。
日本人であれば、それがわかるんですよね。」
舘鼻「子供の頃の経験がそういうふうに流れたんですよね。」
平野「東京芸大で染織を学んだのも大きい?」
舘鼻「そうですね。友禅染をしていたんですけど、
のりも餅米を炊くところからはじめるんです。」
平野「まさに手でつくっていたわけですね。」
平野「高校の頃にファッションの世界に行こうと思って、
でもパリとかに行かないで、芸大に行く。
それって回り道っぽいけど、
あえて選んだ。
しかも計算で。」
平野「そこがまずすごいと思うわけです。」

舘鼻「自分としては賭けでしたね。
ゴールが見えないわけで。
そう考えると1つの選択肢として海外留学もあったんです。
でも海外が素晴らしいというわけじゃなくて、
ファッションデザイナーになりたかったんで。
でも欧米で勉強したほうがいいかなとは思いました。」
舘鼻「それを想像してみたら、
クラスのまわりを見回したらみんな外国人ですよね?
ぼくらの国のファッションを学んでるって思うわけですよね。
つまり彼らは自国の文化を学んでいるわけです。
そう思ったら、勝てないと思って。
自分の国のファッションを学ばないといけないと思ったんです。
それが和装だったんです。」
舘鼻「ある種、バーチャルに想像して、
ぼくは日本の文化を学ぼうと思って東京芸大に入ったんです。」
平野「その選択が正しかったとしても超リスキーだよね?」
舘鼻「怖かったですね。
でも自国の文化を学んで世界にでることがいちばんだと思ったし、
それがぼくのできることだと思ったわけです。」