舘鼻「いまはみんなから誘われたことじゃないことをしたいっていう感じですね。」
舘鼻「だからこの展覧会になったんです。」
平野「ぼくが嬉しかったのは、
この展覧会、靴が並ぶかもしれないと思ったら、
彼がやってきたことのないことだった。
旧作も1つもないんです。」
平野「保険をかけてないんです。」
平野「ぜんぶ新作で、それが嬉しかったし。
それが舘鼻くんの戦い方なんですね。」
舘鼻「保険をかけると自分に負けちゃうんです。
アドレナリンがでないんです。」

舘鼻「命をかけないと、絶対に勝てない。」
平野「こうして作品が並んでいるのを見て、
この場所でやることの意味があったなと思うし、
舘鼻くんの作風が変わったのかもと思ったんです。」
平野「彼がなにをつくっているかって言うと、
生き物なんです。
命なんです。」
平野「いままでのものも美しいし、
素晴らしいけど、命を感じるものはなかったんです。」
舘鼻「止まっている感じですよね。」
平野「凜々しく止まっている感じ。」
平野「見た目は太郎と違うけど、
命を伝えようとしているのは太郎とおなじなんです。」
平野「太郎の作品も、これは何をあらわしているんですか?
って聞かれると1つも答えられない。
でも命なんです。
必ず目があって。」
平野「太郎は職業分類では洋画家なんです。
でも洋画家が描くべき画題はいっさい描いてないんです。
風景画や人物画、テーブルのりんご・・・」

平野「そこの太郎の命が舘鼻くんに入ったんじゃないかと思うんです。」
舘鼻「隣で太郎さんの動画を映しているんですけど、
そこで太郎さんが粘土をこねている映像があって。
それでうらやましいと思ったんです。
だからぼくも戻るわけじゃなくて、
手を動かしたらどうなるんだろう?って思ったのはありますね。」
平野「ここで若い子と展覧会をすることがあるんですけど、
たとえばChimpomとやったんだけど、とても楽しかった。
やってもらいたいのは太郎とぶつかることなんです。」
舘鼻「太郎さんの聖地ですからね。」
平野「太郎どうやってぶつかってるか。
すり寄る必要はないし、無視しても蹴っ飛ばしてもいい。
でも太郎が透けているものがいい。
そうすることで、参加したアーティストにも作用があると思うんです。」
平野「太郎と向き合うっていう課題が、
目の前にぶさがったときどう思いました?」
舘鼻「何をやっていいかわからなかったですよね。
その考え方がダメだったんですけど。
最終的には太郎というフィルターを通して、
見えてきたものがあったような気がします。」

舘鼻「対峙するような目線で見ることはなかったですね。
どちらかというと無視したい(笑)。」
舘鼻「すごく傷跡を残していて、いつでもそこにいる。
歴史的に見ても、太郎という存在は無視できない。」
舘鼻「対峙するのはすごい労力でしたね。」
舘鼻「太郎と対峙するってことが、
仲良く手をつないで一緒にものづくりしようぜっていう人ではないので、
相打ちくらいのつもりでぶつからないと意味はないなと思いましたね。」