平野:「塙さんはいろいろなジャズを聴いていて、どうやって選んでいるんですか? 塙さんの中にアーカイブされてきた経験からくる直感ですか?」
塙:「直感もありますし、自分の聴いてきた耳で、自動的にわけているんですね。言葉ではいいづらいんですけど、自分の中での判断になりますね」
平野:「選球眼がたしかだから、いままで活躍されてきたわけですよね。選球眼を磨くっていうのになにかしていますか?」

塙:「特別な努力っていうのはしていませんね。何十年もジャズを聴いているので、そこだけですね。でもこれは好きじゃないけど、売れるなっていうものはわかりますね」
平野:「でも売れるわけがないと思った和ジャズは、誰も手をつけてないものに踏み出したわけです。売れるからやったわけじゃない」
塙:「そうですね」
平野:「だからビジネス以外の情熱がなかったらこうはならなかったと思うんです。使命感ですかね?」
塙:「知らない音を紹介したい気持ちはあるので、そのへんが自分で意識してなかったけど、結果としてそれが売れたっていうのはあったのかもしれませんね。おもしろものがあって、それをわかる人が三十人くらいいて、その人のために入れるっていうのはありますね」
平野:「それは素晴らしいですね。でもそれは塙さんが入れなかったら、知らなかったわけだから」

塙:「バイヤーとしてはそういう考えですね」
平野:「塙さんは無意識かもしれないけど、いろんなジャズの豊かなアーカイブをつくりたいっていうことじゃないですかね?」
塙:「そういうふうにいっていただけるとありがたいですね」
平野:「根っこにそれがあるから、それを実現するための手段として、仕入れる、自分で製作する、復刻する、それは方法が違うだけで、ミッションは一緒だと思います」
塙:「そうですね。蜘蛛の巣みたいに他社のリリースだけを待っていたら限られてしまうので、自分たちで生み出していかなければっていうのはあって、そう思うと、仕入れもつくるのもおなじですね。」
平野:「それはジャズが好きだからだし、ファンの視点ではなくて、プロデュースの視点ですよね。必然的にそうなったんだと思います」
塙:「以前にビジネスの話をしたことがありまして、そのときにいろいろ考えて、かっこつけて話ましたけど、いま平野:さんと話したら、けっきょくジャズなんだなってわかりましたね。いろんなジャズのビジネスっていうのがありまして、制作もあるし、中古もあります。今日もなかなか現存していないレコードもありまして、それも持ってきていないので聴きましょう。市販されていないレコードなんですけど・・・10枚も流通していないものです」
(音楽)